1994年7月発売のDENONのシステムコンポFシリーズの初代D-F10のプリメインアンプです。翌年のD-F10Gも色違いの同型コンポで、そのアンプPMA-F10Gと内部は同じです。
出力は70W+70W(6Ω)ありますのでこのサイズにしてかなり本格的なアンプとなります。
基本的なところは整備できてますので音出し良好です。このアンプはボリュームや接点等をしっかり整備しても左右のバランスが改善されないという持病がありますが、そのあたりもきっちりと整備してます。リレーもオーディオ用同等品に交換済みで、半田クラックなども修正してます。
ちょっと珍しいRコアトランス搭載のアンプです。巨大なRコアがどっしりと鎮座しています。一般的にハイクオリティのアンプにはトロイダルトランスが採用されてますが、音が柔らかいのでキンキン鳴りがちなCDを聴くには最適だと思います。ところが同世代のトロイダルと比較してもRコアはさらに音が柔らかいです。私はDENONしか知りませんが、音の柔らかさでは90年代のトロイダルより80年代のトロイダルの方が優れています。F10はちょうどこの80年代のトロイダルに音の表情が良く似ています。ただし芯の強さではやはりトロイダルに軍配が上がると思います。いずれにしましてもかなりハイレベルな域に到達した優秀なアンプだと思います。
それからもう一点付け加えておきますが、F10の内部は結構スペースがあってシンプルです。内部が詰まっている方が良いと思っておられる方も多いかもしれませんが一概にそうとは言えません。機能が多くて複雑であればあるほど音声信号が他の経路に漏れる「飛びつき」という現象が起こりやすくなります。そういう面ではよりシンプルなのがベターであって、フルサイズのアンプというのはスペースが広くその点が有利な訳です。
別ページで出品中のCDプレーヤーUCD-F10と組めば本当に良い音が鳴ります。さらにこれも別ページの「SANSUI×Infinity」のスピーカーも合わせれば3拍子そろいますので同クラスとしては別次元のコンポになるはずです。
しかしながら何分古いものになりますので中古品にご理解いただける方どうぞよろしくお願いいたします。