この「1900年前後に製造された染錦唐獅子文様八角鉢皿」は、明治期の有田焼が到達した技術と美意識の高さを示す逸品であり、特にその造形と絵付けの調和に大きな魅力があります。
まず、整然とした八角形の造形は、見る者に安定感と格式を感じさせます。八角は古来より吉祥のかたちとされ、円形や四方形よりも格調高く、特別な席や飾り皿としてふさわしい形状です。面取りの角にまで歪みがなく、明治期の職人による精密な成形技術が遺憾なく発揮されています。
そこに施された染錦の絵付けは、迫力と繊細さを兼ね備えた見事な筆致です。中央には躍動感あふれる唐獅子が配され、赤・青・金彩を駆使して獅子の毛並みや表情、背景との対比が豊かに描かれています。獅子の力強さと装飾的な華やかさが絶妙に両立しており、ただの文様ではなく、物語性をもたらしています。
また、高台内に記された「大明成化年製」の銘は、中国明代の名品へのオマージュであり、明治期の日本陶磁がいかに東洋の伝統を意識しつつ、西洋市場にも通用する芸術性を目指していたかを示しています。
この器は、緊張感のある造形に、華麗かつ精緻な絵付けが響き合うことで、装飾美と精神性が見事に両立した名品です。明治有田の工芸が世界に誇るべき文化遺産であることを、改めて感じさせてくれます。
★寸法★
対角線18.6cm
高さ5cm
陶磁器の町、佐賀県伊万里市在住で古美術商(第911100009525)を営んでおります「陶磁器ヨーソロー」と申します。
古伊万里、現代作家もの、個人で制作活動しているレアな窯元、有田焼や伊万里焼を中心に出品しております。未使用のものに関しては陶磁器商社、骨董品に関しては美術商の競りに参加して仕入れております。
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種類...磁器