地方の古い家に長く残されていた、乳白色で真珠のように、見る角度によってピンク、ブルー、オレンジなど、淡い虹色く胎全体で光輝く、手作り昭和レトロの花瓶です。
胎は虹色に輝く乳白で、上部の縁は奥で約23-24㌢と高く手前で約20㌢と低くし、立体感を際立たせます。上周囲6ヵ所を手ひねりで、内側には幅広に絞り、外側には幅狭に押し広げ、花弁にもヒトデにも上から見え、熟練したガラス職人の手作業の粋で魅せてくれます。制作所は不明ですが、1970年代、昭和45年から10年ほどの時期に人気のあった花瓶とされます。
本品のように、淡く虹色に胎全体で輝く不透明乳白ガラスは、オパール・ガラス(あるいは、オパールセント・ガラス)と言われ、ガラス3素材の、ケイ素(シリカ)・ソーダ灰・石灰で、製造されたソーダ・ガラスに、リン化合物、リン酸(P2O5)を加えます。
リン酸により、大正・昭和のかき氷皿のような、半透明の乳白ガラスとなり、ガラス表面に近い部分の層状構造によって、虹色に輝くが生まれます。このとき熱を加えますと、乳白ガラスは半透明が不透明で、本品のような乳白虹色に輝きます。
しかし、オパール・ガラス製造は、熱を加え乳白色を生み出す製造工程が難しく、また、均一品質を維持するためには、熟練したガラス職人の技術と経験が必要とされ、大量生産には不向きで、それ故、困難で生産コストは高くなり、70年代を過ぎると製造が停止されました。
淡い虹色に光輝く本品は、昭和40年代後半~50年代前半の時期に、日本の優れた技のガラス職人や多くの製造従事者が、手間を惜しまず生み出し、ぬくもりを感じさせてくれる昭和レトロの、がっしりした作りの花瓶です。
赤色など多彩な色の花を生けていただいたり、再度の製造は困難な、昭和レトロの装飾品としても御利用いただけるかと思われます。
サイズ、高さ(最大)約24㌢ 幅(上の最大)約17㌢ 重さ 約1.4㌔