日本代购
以下、所謂ブラクラ妄想ショートショートです~~
序章:令和の静寂
柏木青依(かしわぎあおい)は、銀座の裏通りにひっそりと佇む老舗宝飾店「柏木宝飾」のショーケースに映る自分の顔を、ぼんやりと眺めていた。百年の歴史を誇るこの店で、彼女は五代目の跡継ぎとして、デザイナーの卵としての日々を送っている。しかし、その心は晴れることのない梅雨空のように、重く湿った空気に満たされていた。
「また、溜息ばかりついている」
背後から聞こえた厳格な声に、青依の背筋が伸びる。祖父であり、四代目店主である柏木恭平(きょうへい)だ。職人としての腕は一流だが、時代遅れなほどに頑固で、青依のデザインを見るたびに「魂がこもっていない」と切り捨てる。
「申し訳ありません、おじい様」
「謝る必要はない。だが、その指先から生まれるものに、客の心を震わせる力がないのなら、それはただの石ころと金属の塊だ。うちは、そんなものを売る店ではない」
恭平の言葉はいつも鋭利な刃物のように、青依の自信を削り取っていく。彼女のデザインは、技術的には洗練されている。現代的で、ミニマルで、市場のトレンドも捉えているはずだ。しかし、恭平が言う「魂」が何なのか、青依にはどうしても分からなかった。
その日も、デザインに行き詰まった青依は、店の奥にある古い金庫室に逃げ込むように入った。埃と、金属と、古いベルベットの匂いが混じり合った、時が止まったような空間。ここは、過去の職人たちが残した試作品や、曰く付きで売り物にならなかったジュエリーが眠る場所だ。
何かに導かれるように、青依は桐の箪笥の一番下の引き出しに手をかけた。ぎ、と鈍い音を立てて開いた引き出しの奥に、黒ずんだベルベットの小箱が一つ。手に取ると、ずしりとした重みを感じた。蓋を開けた瞬間、青依は息を呑んだ。
そこに鎮座していたのは、一つのペンダントトップだった。
燃えるような深紅の大粒ルビー。マーキスカットが施されたその石は、まるで生きているかのように、薄暗い金庫室の光を吸い込んで、内側から妖艶な炎を放っている。その周囲を取り巻くのは、眩いばかりのダイヤモンド。スカラップ状の縁取りが、クラシカルで優雅な印象を与える。地金は、温かみのある18金無垢。そして、バチカン(チェーンを通す部分)にまで、緻密な細工とダイヤモンドが施されている。
B3398。
箱の底に、そう記された管理番号があった。
「美しい…」
無意識に漏れた呟き。それは、ただの美しいジュエリーではなかった。何か、強烈な意志や物語が、その小さな身体に凝縮されているような、圧倒的な存在感。青依はペンダントトップをそっと摘み上げた。指先に触れた瞬間、微かな熱を感じた気がした。
ペンダントの裏側を見る。そこには、流麗な筆記体で、小さな刻印が彫られていた。
『永遠なる我が光へ R.F.』
R.F.とは誰なのか。そして、その「永遠なる光」とは。青依の心に、初めて自分以外の誰かの「物語」に対する強い好奇心が芽生えた。
「おじい様、このペンダントは?」
金庫室からペンダントを持ち出し、作業場にいる恭平に見せた。恭平は、一瞥しただけで顔を曇らせ、すぐに視線を逸らした。
「…古い在庫だ。気にするな」
「でも、すごいデザインです。こんなにも情熱的なのに、どこか儚げで…。それに、この刻印…」
「青依」
恭平の声が、常になく低く響いた。
「過去を詮索するな。お前は未来を作れ。それができないのなら、デザイナーなど辞めてしまえ」
冷たく突き放され、青依は言葉を失った。なぜ、このペンダントのことになると、祖父はこれほどまでに頑なになるのだろうか。反発心と、それ以上に強くなる謎への渇望。青依は自室に戻り、改めてペンダントトップを手のひらに載せた。
中央のルビーが、心臓のように脈打っているように見える。
デザインに行き詰まった焦燥感。祖父に認められない悔しさ。そして、このペンダントに秘められた物語を知りたいという強い想い。様々な感情が渦を巻き、青依はペンダントを強く握りしめた。
その時だった。
ぐにゃり、と視界が歪んだ。激しい眩暈に襲われ、立っていられなくなる。耳の奥で、キーンという高音が鳴り響く。世界の色彩が急速に失われ、セピア色の霧の中に沈んでいくような感覚。
「…っ!」
何が起きているのか理解できないまま、青依はその場に崩れ落ちた。最後に目に映ったのは、手のひらの中で、あり得ないほどの光を放つ、深紅のルビーだった。
第一章:昭和の残照
意識が浮上した時、青依の鼻腔をくすぐったのは、知らない匂いだった。炭の燃える匂い、磨かれた木の匂い、そして、今よりも少しだけ甘い空気の匂い。
恐る恐る目を開けると、そこは自分の部屋ではなかった。見慣れたモダンなインテリアはなく、そこは使い込まれた木の机や道具が整然と並ぶ、質実剛健な工房だった。窓から差し込む光は柔らかく、外からは車の走行音ではなく、自転車のベルの音や、遠くで響く市電の走行音が聞こえる。
「…どこ、ここ?」
混乱する頭で状況を整理しようとするが、思考がまとまらない。自分の服装を見ると、現代的なカットソーとジーンズのままだ。その場違いな格好に、ますます不安が募る。
工房の引き戸が、がらり、と音を立てて開いた。
「誰だ、君は」
そこに立っていたのは、白いシャツの腕をまくり、革のエプロンをつけた一人の青年だった。年は青依と同じくらいだろうか。しかし、その眼差しは、現代の若者にはない、ひたむきさと厳しさを湛えていた。短く刈り込んだ髪、日に焼けた肌、そして、宝飾職人のものだと一目でわかる、節くれだったたくましい指。
青依は言葉を失い、ただ青年を見つめることしかできなかった。青年の視線が、青依が手に握りしめているものに注がれる。
「…なぜ君が、それを」
青年は、驚きと警戒が入り混じった表情で、青依の手にあるペンダントトップを指さした。それは紛れもなく、青依が金庫室で見つけた、あのルビーのペンダントだった。
「これは…私が作っているものだ。まだ、誰にも見せていないはずだが」
青年の言葉に、青依の頭の中で何かが繋がった。この工房の雰囲気、青年の服装、そして、作りかけのはずのペンダントが、なぜか完成品として自分の手にあること。
「…今は、何年ですか?」
絞り出すような青依の問いに、青年は怪訝な顔をしながらも答えた。
「昭和七年だが」
昭和七年。西暦で言えば、1932年。今から九十年以上も前の世界。
「タイムスリップ…?」
まさか、と青依は自分の呟きを否定した。しかし、目の前の光景は、紛れもない現実としてそこにあった。青年は藤代蓮(ふじしろれん)と名乗った。この「柏木宝飾」で、先々代…つまり、青依の曽祖父の一番弟子として働く、若き職人だった。
蓮は、青依の常軌を逸した言動と服装に戸惑いながらも、彼女が悪い人間ではないことを感じ取ったのか、ひとまず工房の隅に座ることを許した。
青依は、夢の中にいるような心地で、蓮の仕事ぶりを眺めた。蓮が作っていたのは、まさしくあのルビーのペンダントだった。彼は、寸分違わぬデザイン画を元に、ピンセットで小さなダイヤモンドを一粒一粒、丁寧に台座に嵌めていく。その集中力は凄まじく、工房の中には、彼の息遣いと、道具が金属を削る微かな音だけが響いていた。
青依は、彼の指先に釘付けになった。それは、ただの作業ではなかった。石の一つ一つに語りかけ、その最も美しい表情を引き出そうとする、対話にも似た営み。恭平が口癖のように言う「魂をこめる」という言葉の意味が、目の前の光景によって、鮮やかに理解できた。
「なぜ、そのデザインを?」
沈黙を破り、青依が尋ねた。蓮の手が、ぴたりと止まる。
「…ある女性のために作っている」
少しの逡巡の後、蓮はぽつりと言った。その横顔に、職人としての厳しい表情とは違う、柔らかな光が宿る。
「その人は、太陽のように明るく、そして、夜に咲く月下美人のように儚げな人だ。その人の心を、このルビーに閉じ込めたかった。燃えるような情熱と、誰にも見せない奥深い悲しみを、この一つの石で表現したかった」
蓮の言葉は、まるで詩のようだった。青依は、彼が語る「ある女性」の姿を、ありありと心に思い浮かべることができた。そして同時に、自分のデザインには、これほどまでに誰かを想う「物語」が欠けていたのだと痛感した。
その時、工房の外から、華やかな声が聞こえた。
「蓮さん、いらっしゃいますか?」
蓮の表情が、ぱっと輝いた。恋をしている男の顔だった。引き戸を開けて入ってきたのは、上等な絹の着物に身を包んだ、息を呑むほど美しい女性だった。結い上げた黒髪、透き通るような白い肌、そして、どこか憂いを帯びた瞳。
彼女が、蓮の「永遠なる光」。
「雪(せつ)さん…」
蓮が愛おしげにその名を呼ぶ。彼女は羽室雪(はむろせつ)と名乗った。この辺り一帯の土地を所有する、名家の令嬢だった。
雪は、青依の存在に気づくと、少し驚いたように目を見開いたが、すぐに優雅に微笑んだ。しかし、青依には分かった。その完璧な微笑みの裏に、深い哀しみが隠されていることが。
蓮と雪。二人は身分違いの恋をしていた。このペンダントは、決して公にできない二人の愛の証として、蓮が雪に贈るために、心血を注いで作っているものだったのだ。
青依は、時を超えた目撃者として、二人の禁じられた恋の物語を、ただ静かに見つめることしかできなかった。
第二章:交錯する想い
それから、青依の不思議な二重生活が始まった。ペンダントを強く握りしめ、過去への想いを募らせると、意識が昭和七年へと飛ぶ。そして、ふとした瞬間に、また令和の自室へと引き戻される。まるで、ペンダントに宿った強い想いが、時空の扉を開く鍵となっているようだった。
青依は、透明な幽霊のように、あるいは物言わぬ置物のように、二人の世界に存在した。蓮も雪も、初めは青依の奇妙な出で立ちと、時折ふっと消え、また現れる不可解な現象に戸惑っていたが、彼女が決して自分たちに害をなす存在ではないことを悟ると、次第にその存在を受け入れていった。青依は、ただ静かに、二人の物語に耳を澄ませる聞き役となった。
ある雨の日の午後、雪が店の裏口からそっと工房を訪れた。雨に濡れた絹の傘が、彼女の心情を映すかのように重く垂れ下がっている。
「蓮さん…父に、縁談の話を進めると言われました」
雪の声は、雨音に掻き消されそうなほどか細かった。相手は、事業拡大を狙う羽室家にとって、最も都合の良い貿易会社の社長だという。齢は四十を過ぎ、家庭のある男だった。それは結婚というより、人身御供に近い取引だった。
「そんな…」
蓮の顔から血の気が引いた。握りしめていたヤスリが、カタリと作業台から落ちる。彼は雪の手を握りしめようとして、その指先が身分の違いという見えない壁に阻まれて、空を切った。
「駆け落ちしよう、雪さん。どこか遠い場所で、二人で暮らそう。私には、この腕がある。あなた一人、食わせていくことくらい…」
「いいえ」
雪は、静かに首を横に振った。その瞳には、諦めと、蓮を想うが故の強い意志が宿っていた。
「あなたを、ただの職人で終わらせたくないのです。あなたは、この国で一番の宝飾師になるべき人。私と逃げれば、あなたは全てを失うわ。師匠である柏木様からの信頼も、あなたの未来も。私には、そんなことできません」
「だが、あなたのいない未来に何の意味がある!」
蓮の悲痛な叫びが、工房に響いた。雪は、唇を噛み締め、涙がこぼれ落ちるのを必死に堪えている。青依は、壁際に佇み、息を殺して二人を見つめていた。指先が冷たくなるほどの無力感。この結末を知っている未来人でありながら、何もできない。歴史を変えることなど、許されない。
「もう少しだけ…時間が欲しいと、父に頼んでみます。ほんの少しだけでも…」
それが、雪にできる精一杯の抵抗だった。
その日から、蓮は狂ったようにペンダントの制作に没頭した。まるで、雪との残された時間を、永遠にそのルビーの中に封じ込めようとするかのように。一粒、また一粒と、ダイヤモンドが留められていく。それは、二人が共に過ごした、ささやかで輝かしい日々の記憶の欠片だった。
青依は、蓮の仕事を通して、デザインの本質を学んでいった。彼のデザインは、流行や奇抜さを追ったものではない。ただ一人、愛する女性の魂を映し出す鏡。その曲線は雪の嫋やかな指先を、スカラップの縁取りは彼女の優しい微笑みを、そして中央で燃えるルビーは、彼女の内に秘めた情熱と生命そのものを表していた。
技術だけではない。想いの深さが、デザインに命を吹き込むのだ。青依は、令和の時代で自分が描いていた、空虚で無機質な線画を恥じた。
タイムスリップは不定期に起こる。ある時は、蓮と雪が人目を忍んで会う、神社の境内。夕暮れの光の中で、将来の夢を語り合う蓮と、それを愛おしそうに見つめる雪。またある時は、雪が蓮のために手料理を届けに来る工房。ぎこちなく箸を進める蓮の姿に、青依の胸まで温かくなった。
しかし、幸せな時間は、砂時計の砂が落ちるように、刻一刻と終わりを告げようとしていた。
雪の父親からの圧力は日増しに強くなる。縁談相手の男が、時折、雪の様子を見に羽室家を訪れるようになった。その男、黒川という名の男は、蛇のように執拗な目で雪を眺め、彼女を自分の所有物であるかのように扱った。
雪の笑顔から、光が消えていった。
そして、運命の日が訪れる。
「来月、嫁ぐことになりました」
青ざめた顔で工房に現れた雪が、そう告げた。蓮は、全ての動きを止めた。作業台の上では、最後の仕上げを残すのみとなったペンダントが、まるで自らの運命を嘆くかのように、鈍い光を放っていた。
「…そうですか」
長い沈黙の後、蓮の口から漏れたのは、それだけだった。怒りでも、悲しみでもない、全てを諦めきったかのような、空虚な声だった。
「ごめんなさい、蓮さん。私…」
「謝らないでください」
蓮は、初めて雪の言葉を遮った。そして、作業台からペンダントを手に取ると、柔らかい布で丁寧に磨き始めた。
「これは、あなたのために作ったものです。あなたのための、世界でただ一つの光です。どうか、受け取ってください」
完成したペンダントは、神々しいまでの輝きを放っていた。中央のルビーは、まるで雪の流す血の涙のように、深く、鮮やかに燃えている。
「…受け取れません」
雪は、涙を流しながら後ずさった。
「これを受け取ってしまえば、私の中にいるあなたが、いつまでも消えなくなってしまう。私は、羽室家の人間として、心を殺して嫁がなければならないのです。あなたの想いを胸に抱いてなど、生きていけません」
「いいや、生きてくれ」
蓮は、雪の前に進み出た。彼の瞳は、絶望の淵にありながら、なお燃えるような愛の光を失っていなかった。
「この石が、あなたのお守りになる。どんなに辛い時も、このルビーの炎が、あなたの心を温める。俺は、あなたの心の中で生き続ける。それでいい。だから、これだけは…」
蓮は、雪の冷たい手のひらに、ペンダントをそっと載せた。ずしりとした重みと、蓮の体温が伝わる。雪は、ペンダントを握りしめ、嗚咽を漏らした。
その時、工房の引き戸が乱暴に開けられた。
「こんな所で、密会とは感心せんな」
そこに立っていたのは、雪の許嫁である黒川だった。彼の後ろには、屈強な男たちが二人控えている。
第三章:永遠の別離
黒川の粘着質な視線が、蓮と雪、そして雪の手に握られたペンダントの間を往復した。下卑た笑みが、その唇に浮かぶ。
「ほう、随分と綺麗な石じゃないか。職人の分際で、俺の許嫁に貢ぎ物とは、身の程を知らん奴だ」
「あなたには関係ない!」
蓮が激昂し、一歩前に出ようとするのを、雪が着物の袖を引いて制した。彼女は、恐怖に震えながらも、気丈に黒川と対峙する。
「この方は、柏木宝飾の職人さんです。父の依頼で、私の嫁入り道具を作っていただいていただけ。あなたに、とやかく言われる筋合いはございませんわ」
「嫁入り道具、ねぇ」
黒川は、雪の言葉を鼻で笑った。そして、控えていた男たちに目配せする。男たちは、無言で蓮の両腕を掴み、背後に捻り上げた。
「ぐっ…!」
「蓮さん!」
雪の悲鳴が響く。
「やめなさい!この人を離して!」
「黙れ」
黒川は、雪の頬を乱暴に平手で打った。ぱん、という乾いた音が工房に響き渡る。雪はよろめき、床に手をついた。その衝撃で、握りしめていたペンダントが手からこぼれ落ち、カラン、と冷たい音を立てて床を転がった。
深紅のルビーが、まるで血溜まりのように、薄暗い床の上で不吉な光を放つ。
「この男に、二度と君に近づけないように、よぉく言い聞かせてやらにゃならんな」
黒川は、床に落ちたペンダントを靴の先で弄びながら、愉しげに言った。
「いいか、小僧。こいつはもう俺のものだ。お前のような虫けらが、気安く触れていい女じゃない。次にその汚い指一本でも触れてみろ。その指、へし折ってやるからな」
蓮は、屈辱に顔を歪め、歯を食いしばっていた。唇の端が切れ、血が滲む。それでも、彼の瞳は、真っ直ぐに雪を見つめていた。その眼差しは、心配するな、俺は大丈夫だ、と語りかけているようだった。
「さあ、帰るぞ、雪」
黒川は、雪の腕を乱暴に掴んで引き起こした。雪は、最後の抵抗として、床に落ちたペンダントに手を伸ばす。
「待って…それだけは…」
「まだそんなものに未練があるのか。いいだろう、くれてやる」
黒川は、ペンダントを拾い上げると、それを雪の顔に投げつけた。
「だがな、それはお前への戒めだ。それを見るたびに、今日の屈辱と、この俺の言葉を思い出せ。お前は、俺の所有物だということをな」
嵐のように、黒川たちは去っていった。工房には、押さえつけられていた蓮と、打ちひしがれた雪、そして、何もできずに立ち尽くす青依だけが残された。
静寂の中、雪の嗚咽だけが響く。蓮は、ゆっくりと立ち上がると、震える雪の肩を抱くこともできず、ただ、その傍に膝をついた。
「雪さん…すまない…俺が、不甲斐ないばかりに…」
「違う…違うの、蓮さん…」
雪は、ペンダントを拾い上げ、胸に強く抱きしめた。
「もう、会えません。これが、本当に最後。でも、私は…あなたの魂と、ずっと一緒にいます。この石が、私だから」
そう言うと、雪は立ち上がった。その足取りは、不思議なほどしっかりとしていた。何か、重大な決意をした者の足取りだった。
「蓮さん、どうか、幸せになって。私のことなど忘れて、あなたの腕で、たくさんの人を幸せにする宝物を作ってください。それが、私の唯一の願いです」
「雪さん!」
蓮が呼び止める声も聞かず、雪は工房を飛び出していった。雨は、いつの間にか激しさを増していた。
それが、青依が昭和の時代で見た、二人の最後の姿だった。
次に青依の意識が令和に戻った時、彼女は自室の床に座り込み、涙を流していた。手のひらには、あのルビーのペンダント。九十年の時を経てもなお、その輝きは少しも失われていない。しかし、今の青依には、その輝きが蓮と雪の流した涙と血のように見えて、胸が張り裂けそうだった。
何日か、青依は工房に立つことができなかった。デザイン画を描こうとしても、蓮と雪の悲しい顔が浮かんで、ペンが進まない。あのペンダントに秘められていた物語は、青依が想像していた以上に、残酷で、切ないものだった。
しかし、いつまでも塞ぎ込んではいられない。彼らの物語を知ってしまった今、自分にはやるべきことがあるはずだ。青依は、ペンダントを握りしめ、再び祖父の恭平がいる作業場へと向かった。
第四章:受け継がれる魂
「おじい様」
青依の声には、以前のような自信のなさや反発心はなかった。ただ、静かで、真摯な響きがあった。恭平は、ルーペを目に嵌め、石留めの作業をしていたが、その手を止め、ゆっくりと顔を上げた。
青依の顔を見て、恭平は僅かに目を見開いた。数日見ない間に、孫娘の纏う空気が、まるで別人のように変わっていたからだ。迷いの霧が晴れ、一本の芯が通ったような、澄んだ瞳。
「どうした」
「このペンダントの話を、聞かせてください」
青依は、恭平の前にペンダントを置いた。
「これは、ただの古い在庫などではないはずです。これは、藤代蓮さんという職人が、羽室雪さんという女性のために、魂を込めて作ったものです。違いますか?」
藤代蓮、という名を聞いた瞬間、恭平の肩が微かに震えたのを、青依は見逃さなかった。恭平は、長い間、深く息を吐き出すと、手にしていた道具を静かに置いた。
「…どこで、その名を」
「彼が、教えてくれました」
青依は、タイムスリップという非現実的な体験を、どう説明すればいいか分からなかった。しかし、嘘をつくことはできなかった。
「信じてもらえないかもしれませんが、私は、このペンダントを通して、昭和七年の世界を見てきました。蓮さんがこれを作っている姿も、雪さんと愛を語り合う姿も、そして…二人が引き裂かれる瞬間も」
恭平は、何も言わずに、ただじっと青依の目を見つめていた。その眼差しは、彼女の言葉の真偽を確かめているようでもあり、遠い過去に想いを馳せているようでもあった。
沈黙が、重く作業場に満ちる。やがて、恭平は諦めたように溜息をつくと、重い口を開いた。
「…お前が、そこまで知ってしまったのなら、もう隠しておく意味もないか」
それは、青依が今まで一度も聞いたことのない、祖父の優しく、そして少し寂しげな声だった。
「藤代蓮は、ワシの師匠だ」
恭平は、ゆっくりと語り始めた。
蓮は、雪と別れた後も、生涯を「柏木宝飾」の職人として捧げた。彼は、決して自分の過去を語ることはなかったが、その仕事ぶりは、常に鬼気迫るものがあったという。彼の手から生み出されるジュエリーは、まるで命を宿しているかのように、見る者の心を捉えて離さなかった。特に、色石を使ったデザインは、他の追随を許さない圧倒的なものだった。
「師匠は、口癖のように言っていた。『石の声を聞け』と。石には記憶がある。喜びも、悲しみも、全て記憶している。その記憶を呼び覚まし、形にしてやることが、我々職人の仕事なのだ、と」
恭平が、青依に「魂をこめろ」と言い続けてきた言葉の原点が、そこにあった。
「そして、このペンダントだ」
恭平は、ルビーのペンダントを愛おしそうに指でなぞった。
「これは、師匠の魂そのものだ。師匠は、晩年、ワシにこのペンダントを託した。そして、こう言った。『これは、ワシの唯一の失敗作であり、最高の傑作だ。決して、店には出すな。だが、もし、いつかこの石に宿る物語を、悲劇のまま終わらせず、未来へと繋ぐことができる本当のデザイナーが現れたら、その者にこれを託してほしい』と」
恭平の目が、真っ直ぐに青依を射抜いた。
「ワシは、お前を試していた。お前の作るものは、技術はあっても、心がなかった。物語がなかった。だが、今のお前は違う。その目には、蓮師匠と同じ光が宿っている」
祖父の言葉が、青依の心に温かく染み渡っていく。認められたいと、あれほど焦がれていた承認の言葉。しかし、それはもはや、青依にとって最も重要なことではなかった。
「おじい様…雪さんは、その後どうなったのですか?」
恭平は、静かに首を横に振った。
「師匠は、何も語らなかった。ただ一度だけ、遠くを見つめながら、『あの人は、きっとどこかで、この石のように強く、気高く生きているはずだ』と呟いていたのが、耳に残っている」
雪は、あの後、黒川と結婚したのだろうか。ペンダントを胸に、どんな人生を送ったのだろうか。その後の二人の物語は、時の流れの中に埋もれてしまっていた。
青依は、決意を固めた。
「おじい様。私、このペンダントを、リデザインさせてください」
蓮の想い、雪の悲しみ、そして、九十年という時を超えて受け継がれた師匠の魂。その全てを、この手で未来へと繋ぐために。
「蓮さんと雪さんの物語を、悲劇で終わらせない。二人の愛が、どれほど美しく、永遠のものであったかを証明するデザインを、私が作ります」
恭平は、何も言わなかった。ただ、深く頷くと、その目には、確かな信頼の光と、僅かな涙が滲んでいるように見えた。
第五章:ルビーに宿る永遠
その日から、青依は生まれ変わったようにデザインに没頭した。もう、迷いはなかった。彼女の頭の中には、蓮と雪の物語が鮮やかに息づいている。
彼女は、蓮のデザインを否定しなかった。この燃えるようなルビーと、それを取り巻くダイヤモンドの配置は、蓮が雪に捧げた完璧な愛の形だ。これを崩すことは、二人の魂を冒涜することになる。
青依が加えたのは、「光」だった。
彼女は、ペンダントトップの下に、一粒のペアシェイプ(涙滴形)ダイヤモンドを揺れるように付け加えるデザインを考案した。それは、雪が流した悲しみの涙のようであり、また、長い時を経て昇華された魂の輝きのようにも見えた。
さらに、ペンダントの裏側。蓮が刻んだ『永遠なる我が光へ R.F.』の文字。青依は、その文字を消さずに、そっと寄り添うように、新たな文字を彫ることを決めた。
『そして、光は時を超えて S.H.』
S.H.は、雪・羽室のイニシャル。蓮の想いが、雪に届き、そして未来永劫輝き続けるように、という祈りを込めたアンサーだった。
デザイン画を見た恭平は、言葉を失っていた。そして、深く、長く息を吐くと、「…蓮師匠も、きっと喜んでくれるだろう」と、震える声で言った。
制作は、恭平と青依の二人で行われた。恭平は、蓮から受け継いだ技術の全てを、青依に注ぎ込んだ。ヤスリをかける角度、ロウ付けの炎の当て方、石を留めるタガネの微細な力加減。二人は、言葉を交わさずとも、互いの想いを理解し合っていた。それは、九十年前の蓮の魂と、令和を生きる青依の感性が、一つのジュエリーの上で対話し、融合していく、奇跡のような時間だった。
数週間後、新たな命を吹き込まれたペンダントが完成した。
元のデザインの情熱的な美しさはそのままに、揺れるペアシェイプダイヤモンドが、儚なくも清らかな光を添えている。それは、悲しみを乗り越えた先にある、希望の光に見えた。
青依は、そのペンダントを「永遠の光(エターナル・ライト)」と名付けた。
そして、柏木宝飾の創業百周年を記念する新作発表会で、このペンダントは、蓮と雪の物語と共に、特別展示されることになった。
発表会当日。会場には、多くの客とジャーナリストが詰めかけていた。青依は、少し緊張しながらも、誇らしい気持ちで、自分がリデザインしたペンダントが飾られたショーケースの前に立っていた。
その時、一人の年配の女性が、車椅子に乗って、静かにそのショーケースの前にやってきた。上品なスーツに身を包み、その佇まいには、凛とした気品が漂っている。
「…まあ」
老婦人は、ペンダントを一目見ると、小さく息を呑んだ。そして、添えられたストーリーを読んで、その目に涙を浮かべた。
「あの…何か」
青依が声をかけると、老婦人は、優しい笑みを浮かべて彼女を見た。
「あなたが、これを…?」
「はい。私が、リデザインを」
「そう…素晴らしいお仕事ね。まるで、雪お祖母様が、すぐそこにいるようだわ」
「え…?」
青依は、耳を疑った。
老婦人は、羽室雪の孫にあたる人物だった。彼女の名は、羽室和音(かずね)という。
和音は、ゆっくりと語り始めた。祖母である雪は、結局、黒川と結婚した。それは、愛のない、家のための政略結婚だった。しかし、雪は決して心を殺したりはしなかった。彼女は、羽室家の人間としての務めを果たしながらも、その胸には、常に蓮から贈られたルビーのペンダントを、お守りとして密かに忍ばせていたという。
「祖母は、夫が亡くなった後、誰にも看取られることなく、一人で静かに暮らしていました。私は、幼い頃、よく祖母の家に遊びに行ったものです。祖母は、私にだけ、時々、ある職人の男性の話をしてくれました。決して名前は言いませんでしたが、その人のことを語る時の祖母の顔は、まるで少女のように輝いていました」
雪は、生涯、蓮を愛し続けていたのだ。
「そして、亡くなる直前、祖母は私にこのペンダントを見せてくれました。そして、『この石は、私の魂そのもの。私が死んだら、この石の心がわかる人の元へ、還してあげておくれ』と。それが、祖母の遺言でした」
しかし、戦争や戦後の混乱の中、ペンダントは和音の手を離れ、人手に渡り、行方が分からなくなってしまっていた。それを、何十年もの間、ずっと探し続けていたのだという。
「今日、この記事を見るまでは…」
和音が差し出した雑誌には、柏木宝飾の記念展示会の特集が組まれており、青依がリデザインしたペンダントが、大きく掲載されていた。
青依は、言葉を失い、ただ涙を流していた。隣に立つ恭平もまた、静かに目頭を押さえている。
九十年。
蓮の想いは、雪の胸で生き続け、雪の祈りは、孫へと託された。そして、巡り巡って、この始まりの場所へと還ってきたのだ。時を超えた二人の魂が、今、ここで再び巡り会った。
青依が加えた一粒のダイヤモンドは、まるで、この再会を祝福する喜びの涙のように、きらきらと輝いていた。
終章:令和の素敵なハッピーエンド
和音は、柏木宝飾から、丁重に「永遠の光」を譲り受けた。
「祖母の魂が、ようやく還るべき場所に還れます。本当に、ありがとう」
深々と頭を下げる和音に、青依は「私の方こそ、ありがとうございます」と答えた。蓮と雪の物語に、最高の結末を与えてくれたのは、和音だったからだ。
この出来事は、青依をデザイナーとして、大きく成長させた。彼女が作るジュエリーには、確かな「魂」と「物語」が宿るようになった。それは、人の心に寄り添い、記憶に語りかけ、未来への希望を照らし出す光。
祖父の恭平は、もう青依のデザインに口を出すことはなくなった。ただ、穏やかな目で、彼女の成長を見守っている。厳格だった四代目と、迷える五代目の間には、蓮という一人の職人の魂を通して、深く、温かい絆が結ばれた。
柏木宝飾は、新たな時代を迎えた。青依のデザインは、多くの人々の心を捉え、店はかつてないほどの活気に満ちている。
ある晴れた日の午後。青依は、店のショーケースに飾られた自分のコレクションを眺めていた。その一つ一つに、顧客一人一人の物語が重なって見える。
ふと、ガラスに映る自分の顔を見た。そこにはもう、自信なさげに溜息をつく、かつての彼女はいなかった。自分の仕事に誇りを持ち、未来を見つめる、一人のデザイナーの顔があった。
青依は、胸元で輝く小さなペンダントにそっと触れた。それは、恭平が、彼女がデザイナーとして一本立ちした記念にと、あの「永遠の光」をモチーフにして、新しく作ってくれたものだった。
小さなルビーが、心臓の鼓動と呼応するように、温かい光を放つ。
時を超えて受け継がれた想いは、確かにここに在る。そして、これからも、新しい物語を紡ぎ続けていく。青依は、柔らかな陽光の中で、そっと微笑んだ。銀座の裏通りに佇む老舗宝飾店から、また一つ、永遠の輝きが生まれようとしていた。
一、海淘有惊喜,但同时也有风险,作为海淘者,您需要承担以下风险:
1.如果购买的是字画、瓷器等古美术品或知名品牌奢侈品,买家需要承担是仿品的风险
日拍网的拍品转自日本JDirectitems平台,没有能力管理约束卖家,我们只是买家和卖家之间的中介,履行中介义务,不承担卖家责任。日拍网的工作人员也不具备相关鉴定知识,无法分担此类风险。
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如果卖家同意退换,物品寄回日本的国际邮费需要买家本人承担,日本国内寄回给卖家的邮费由日拍网承担。
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直邮的快件出现破损、丢失的,邮寄时如果没有购买保险,日本邮局最高赔偿2万日元,如果有购买保险,按保险金额赔偿。出现破损的,需要当面做异常签收,否则买家自行承担破损的全部责任。
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大量邮寄非消耗类的同类物品超过一定数量(例如:500个铁壶、300台CD机、200个电饭锅等等)时,海关会认为超出了合理的自用范围而进行缉私侦查。
7.日拍网的出价ID是动态的,无法保证您一直使用同一个ID出价
例如:多人竞拍同一件拍品时、出现出价系统错误时等等,系统可能会更换ID。不同ID中标的拍品无法同捆。
二、作为代购中介方,日拍网将承担以下力所能及的风险:
1.买家付款之后,日本卖家不发货,由日拍网全额退款。
2.货品从卖家发到日拍网日本仓库途中出现丢失、损坏的由日拍网承担全额赔偿责任。
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三、日拍网的风险提醒:
1.如果您是新会员,首次出价购买工艺美术(古董收藏品)类目的商品时,系统会弹窗提醒:
“亲爱的会员,您出价的宝贝属于工艺美术品,日拍网是代拍平台,我们只是您和卖家之间的中介,履行中介义务,不承担卖家责任,您需要自己承担拍品是仿品的风险。出价之前也请仔细阅读拍卖详细页的《出价规则》、《风险》、《费用》等重要说明!”,您需要点“同意”才能继续出价。
2.卖家的好评低于100时,日拍网会弹窗提醒:
“亲爱的会员,此卖家的评价较低,可能存在诚信上的风险,日拍网只是您和卖家之间的中介,履行中介义务,不承担卖家诈骗风险。出价之前也请仔细阅读拍卖详细页的《出价规则》、《风险》、《费用》等重要说明!”,您需要点“同意”才能继续出价。
3.卖家的好评低于30时,日拍网会二次弹窗提醒:
首先“亲爱的会员,此卖家的好评低于30,可能存在诈骗风险,日拍网只是您和卖家之间的中介,履行中介义务,不承担卖家诈骗风险。出价之前也请仔细阅读拍卖详细页的《出价规则》、《风险》、《费用》等重要说明!”,点“同意”后,二次弹窗提醒“亲爱的会员,此卖家的好评低于30,可能存在诈骗风险,您需自行承担此风险,确定要出价吗?”,您需要“同意”才能继续出价。
4.卖家好评低于5时,日拍网将禁止出价,您需要联系客服,确定自行承担相关风险后解禁。
5.每次出价之前,日拍网弹窗提醒您仔细阅读《出价规则》、《风险》、《费用》等重要说明,您需要“同意”才能继续出价。
四、我们拒绝代购以下商品,简称服务外商品:
(一)禁止购买的物品
1.商品重量和体积超过各种邮寄方式限制的物品
能否邮寄请提前咨询客服。
2.根据日本的法律被限制出口的商品(如药品、活的生物)。
3.华盛顿公约或CITES公约禁止交易的物品,详细说明请参考《华盛顿公约或CITES公约》。
4.中华人民共和国禁止进境物品
①各种武器、仿真武器、弹药及爆炸物品;
②伪造的货币及伪造的有价证券;
③对中国政治、经济、文化、道德有害的印刷品、胶卷、照片、唱片、影片、录音带、录像带、激光视盘、计算机存储介质及其它物品;
④各种烈性毒药;
⑤鸦片、吗啡、海洛因、大麻以及其它能使人成瘾的麻醉品、精神药物;
⑥带有危险性病菌、害虫及其它有害生物的动物、植物及其产品;
⑦有碍人畜健康的、来自疫区的以及其它能传播疾病的食品、药品或其它物品。
5.中华人民共和国限制进境物品
①无线电收发信机、通信保密机;
②烟、酒;
③濒危的和珍贵的动物、植物(均含标本)及其种子和繁殖材料;
④国家货币;
⑤海关限制进境的其它物品。
常见禁止和限制购买的物品例如:象牙及相关加工制品、活物、动物部件(例:鲸牙,虎牙等)、龟甲、植物、香木、沉香木、檀木(例:紫檀、白檀、黑檀等)、花梨木、珊瑚类、琥珀、药品、流通货币、羽毛、纸币、蛤基棋子、仿真枪、刀具、烟(含电子烟)、酒、涉黄物品(例:影片、音像、图片、书籍书刊、BL书籍等所有涉黄周边内容)、毒品、反动报刊、皮草、貂皮、鲛皮、动物皮制衣服等所有海关禁止入境或其它一切国家禁止买卖的商品。
请参考
《中华人民共和国禁止进出境物品表》和《中华人民共和国限制进出境物品表》(1993年2月26日海关总署令第43号发布自1993年3月1日起施行)
详情请点击:http://www.customs.gov.cn//customs/302249/302266/302267/356445/index.html
(二)日本邮局无法承运的物品
含有金、银等贵重金属的物品、液体类、香水、打火机、火柴、蜡烛、木炭、电池、电池无法拆除的器物、移动电源、无线电类、蓝牙耳机、精密仪器、电脑硬盘、高压气体、救生圈、避震器、排气管、方向盘(含气囊)、化油器、油箱油罐等(含油渍)物品、带气体或带油渍物品、膏类、脂类(例:润滑脂等)、热水器、火钵类、煤气炉等(用瓦斯)、带喇叭、磁铁的物品(例:音响)、发动机或带发动机的模型、马达或带马达的模型、贝壳及贝壳镶嵌类物品(例:含螺鈿細工工艺品)、颜料、打印机墨盒、易燃易爆物品、电机、电容、粉末类。以上物品其它物流(例:FEDEX)能否邮寄请咨询客服。